焼き鳥の「串から始まる物語」 ①の記事から是非お読みください。

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焼き鳥の「串から始まる物語」 ~失う日~

おやじを見た僕もギョッと一瞬固まった。それがあまりにも鬼気迫るものだったからだ。

おやじは暫く黙っていたが、絞り出すような声で、地面を見たまま占いの結果を告げた。


「異常な…。異常に大きい運命の波が、あなたを呑み込んでいる。」


おやじはそれだけ僕に告げると、そそくさと屋台を仕舞いはじめた。
おやじの顔は相変わらず白く、顔には汗が伝わっていた。

占いの滑稽さと、おやじの鬼気迫る様子のギャップに、
その頃には面白しいとの感情さえ覚え、僕は正気取り戻していた。

「そうですか。ありがとうございました。」

僕は強制的に見せられた串投げパフォーマンスに、何故かお礼を言ってその場を後にした。
おやじは何も言わず、僕を見ないように相変わらず屋台を片付けていた。
自分で呼びつけておきながら、最後は僕になるべく関わらないようにしているようなので、いい気持ちはしなかった。

僕は無事にスーパーで果物といくつか食料を買い、買い物を済ませレシートを受け取った。
帰り道、そっと焼き鳥の屋台を確認したが、すでに引き上げたあとだった。ほっとした僕は食料の入ったビニール袋を片手に家に戻った。

家に戻ると、ポケットの中に入れているはずの鍵がないことに気がついた。
どこかで落としたかと思い、重いビニール袋をドアノブに掛けて、来た道を鍵を探しながら戻った。
普段と違い財布の中に鍵を入れていたことをすぐに思い出し、家に戻った。

家に戻ると、空のビニール袋が風に虚しくそよぎ、ドアノブにかかっていた。僕の買ってきた果物や食料はなくなっていた。

盗まれた…。

僕はもう一度スーパーに行く、気力も体力もなく、家で一度休むことにした。

さっきのおやじか?僕はすぐに焼き鳥屋のおやじを疑った。
この世の中、なかなか外に置いてある食料を盗む人もいないが、あのおやじなら僕のあとをつけて盗んでも不思議じゃなかった。

たいした金額じゃないし、警察に電話するまででもないか…。
そんなことを考えながら、ふと値段を確認しようとレシートを見た。

買った食べ物と値段が並んでいたが、最後にこう書かれていた。

 

 

 

「失う日」 所持する食料を失う

 

 

なんだこれ?

お腹が空いたので、仕方なくカップラーメンを食べようとキッチンの引き戸を開けると、カップラーメンが見当たらない。

 

家を出る前は確実にあったはずだ。

 

冷蔵庫を空けてみると、使いかけの調味料がきれいさっぱりなくなり、ビンだけが残されていた。

 

 

僕はおやじの占い通り、この日から、とてつもなく、とてつもなく大きく、異様な運命の波に呑み込まれていくこととなる。

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焼き鳥の「串から始まる物語」 ③ 

焼き鳥の「串から始まる物語」 ~得る日~
に続く。

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